【デキる男、藤原実資-望月の歌「この世をば~」を斬る!!-】
突然ですが、この歌、上手いと思いますか?
この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の
欠けたることも なしと思へば
[この世は私のための世界のように思える。まるで満月の欠けたところの
ないように、満ちたりた思いがするの
だから。]
藤原氏の最盛期、道長が詠んだ
歌ですね。
娘の威子(いし)が後一条天皇の后に
なった日の祝宴で詠みました。
教科書にしっかり載っている歌
ですが、
実のところどうなのでしょう?
あなたは、
上手いと思いますか?
下手だと思いますか?
人によって響くものは違いますし、
それは千差万別で良いと思います。
しかし、この歌に少々困らされた人物が
いるというのが事実です。
藤原実資(さねすけ)と言います。
藤原実資が後世の為に残した日記
「小右記」には、この時のことが
ありありと記されています。
実資は、道長から歌の批評を頼まれていました。
そして、見事に詠まれたのがこの歌。
取り合えず、
めでたい祝宴で詠む歌ではない気が…。
(-ω-;)ウーン
現代であれば、娘に親子の縁を一方的に
切られてしまいそうです(-_-;)
会場はドン引き…。
しかし、頼まれている以上、
実資は批評をしなければなりません。
さて、ここで問題です。
この後、実資はどうしたでしょう?
次の①~③から選んで下さい!!
①道長を褒めまくる
②みんなで一緒に復唱する
③しっかりとダメ出しする
・
・
・
(考え中)
・
・
・
さて、どうでしょうか。
これが正解するかどうかで、
将来、出世するタイプかどうかが
分かってしまいそうです。
では、正解は~~、
ジャジャン!
『②みんなで一緒に復唱する』でした🎊
どういうことか、解説します。
まず、
①道長を褒めまくる を選んでしまうと、
後で馬鹿にされるのは実資です。
会場はドン引きでした。それなのに
褒めてしまうと、自らの株を下げる
ことに繋がってしまうのですね。
③しっかりとダメ出しする は面白い
気はしますが、時の最高権力者を
こきおろしてしまうと、これもまた後で
困ったことになりそうです。
そこで、
実資が導き出したベストアンサーは
こんな感じです。
↓
実資:この歌は、私一人が批評するのではなく、
みんなで唱えてみれば分かると思います。
そして、みんなで復唱しました。
「この世をば~…………
・
・
・
シ~ン… 会場が静けさに包まれます。
・
・
・
そして、みんな心で感じ取りました。
「これは駄作だ」と言うことに…。
いかがでしたか。
災いは突然やって来ますが、
実資はこうやってピンチを切り抜けた
のです。
物事に対し機転を利かせることって
大事ですよね。
実資の例だと、自身をピンチから救った
だけではなく、道長や周りの人たちを
誰も傷付けずに済んでいます。
常日頃から最善の行動をとるように
心掛けたいものですね。
また、
この時のことを日記として残す、
実資のセンスも面白いと思います。
まあ、この「小右記」に書かれている
こと自体、
道長をただ貶めようとしている可能性
もあるんですけどね…。(;^_^A
音声を載せました。
よろしければ参考にして下さい。
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では、今回はこの辺で。
このブログを読んで下さる方々に
最大の敬意を込めて。
あなたの生徒が輝く授業を
最大限していきましょう。
ありがとうございました。
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